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坪井 裕; 神田 啓治*
日本原子力学会誌, 43(1), p.67 - 82, 2001/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)核不拡散条約(NPT)が、非核兵器国に対してはすべての核物質にIAEAの保障措置を要求する一方、核兵器国に対しては、このような義務付けがない点をとらえて、不均衡性、不平等性の問題が指摘される。核兵器国は自主的に保障措置協定を締結しているものの、査察は一部の施設に対してしか実施されていない。英仏は民生用核物質のみではあるがユーラトムの保障措置を受け入れている。最近は解体核兵器等からの余剰核物質に対して保障措置を適用することの検討や、カットオフ条約の検証措置としての保障措置も検討されている。核物質が核兵器等に使用されることのないようにする国際的な制度は恒久的に必要であり、そのためにはすべての国が受け入れられるような普遍性が必要である。本論文では、核兵器国における保障措置の実態を分析し、非核兵器国との不均衡性、不平等性を実質的に解消し、保障措置を普遍化させるための方策案を提示する。
坪井 裕
Proceedings of International Symposium Peaceful Uses of Nuclear Energy and Non-proliferation; A Challenge for 21 Century, p.79 - 83, 2000/03
原子力エネルギーの平和目的の有効かつ持続的な利用は、効果的で世界的な核不拡散レジームに大きく依存している。国際原子力機関(IAEA)保障措置は、現在大きな変化を遂げつつあるが、国際的な核不拡散において中核的な役割を果たしている。保障措置協定の追加議定書のモデルが1997年にIAEA理事会において採択された。この追加議定書の措置は、国の未申告核物質・活動に対するIAEAの探知能力を大幅に強化した。保障措置協定の措置と追加議定書の措置を統合した、新しい保障措置システムは、保障措置を強化し、さらに有効性を向上するものであって、非常に重要である。また、核兵器国における保障措置の適用拡大を含む、保障措置の恒久性と普遍性を確立することもまた、核軍縮に向けたさらなる活動を支援しつつ、核不拡散レジームを強化するものとして重要である。保障措置の役割はますますその重要性を増している。
坪井 裕
Proceedings of 2nd Annual JNC International Forum on the Peaceful Use of Nuclear Energy, p.20 - 54, 2000/02
日・IAEA保障措置協定の追加議定書は、1999年12月16日に発効した。この追加議定書に基づく拡大情報の初期申告は、本年6月までにIAEAに提出されることとなる。日本においてはIAEA保障措置の有効性が強化され効率性が改善された新しい統合保障措置システムの検討が大変重要な課題であると考えられている。今後は、恒久的で普遍的な保障措置システムの確立が重要である。核不拡散の観点のみならず核軍縮の観点からも核兵器国における保障措置の適用がより重要になってきている。保障措置には新しい役割が期待されている。